従業員を人として扱わない社長の心理学 その裏に潜む経営者の本音

従業員を人として扱わない社長の心理学 その裏に潜む経営者の本音

なぜ従業員を大切にしないのか?

「人・モノ・金」が商売において欠かせない要素であることは誰もが知っています。特に、深刻な人手不足に直面している業界では、一人でも優秀な人材を確保することが最優先事項です。しかし、いざ社内に入ると、周囲の企業よりも従業員の待遇が悪いと感じる会社が少なくありません。

例えば、「年間休日100日!」と掲げながらも、給与形態が日給月給であったり、福利厚生が貧弱であったりといったケースです。一見すると矛盾しているように思えるこの現象、なぜそのような企業が存在するのでしょうか?

その答えの一つは、**「頭が悪くて忠誠心の強い人材を求めている」**という事実です。頭の良い人材を採用すれば、確かに会社に利益をもたらす可能性はあります。しかし、経営者の視点では、そうした人材は会社をうまく利用し、時に振り回すリスクも高いのです。一方、忠誠心が高く、従順な人材は、管理が容易で、経営者にとって「扱いやすい駒」となります。

なぜ社長は従業員を酷使するのか?

従業員を酷使する理由は、「代わりはいくらでもいる」という冷たい発想だけではありません。むしろ、多くの場合は「勿体無い」という心理が働いています。

経営者にとって、従業員に支払う給与は、自分の財布から直接お金を出しているような感覚に近いものです。そのため、従業員が期待通りの働きをしないと、「せめて1日100件人と会ってこい」といった無茶な要求をしたくなるのです。

この「勿体無い」という感情は、会社の利益を守りたいという経営者の心理から来ていますが、その結果として、従業員を酷使するという行動に繋がっています。

経営はゲームと同じ?従業員を「駒」として見る発想

経営は、一種のゲームに似ています。ヒト・モノ・カネというリソースをバランスよく使い、会社というキャラクターを成長させるゲームだと考えると分かりやすいでしょう。このゲームの中で、従業員も「ヒト」というリソースの一部として扱われます。

テレビゲームでは、使えるキャラクターはとことん使い続けます。そして、性能が低くなったり、新しいキャラクター(人材)を手に入れたりした場合、古いキャラクターは容赦なく切り捨てられます。経営においても同じことが起きています。

もちろん、すべての経営者が感情を排除しているわけではありません。しかし、感情を持たずに従業員をリソースとして割り切る経営者が多いのも事実です。

会社と従業員の関係性のすれ違い

従業員は、会社や社長に感謝をしているでしょうか?答えは、多くの場合「NO」です。不思議なことに、仕事がなければ生活が成り立たないと分かっていながら、「社長に飯を食わせてもらっている」と考える従業員は少ないのです。

例えば、給料を上げても「これっぽちかよ」と不満を言われたり、従業員の解雇を避けるためにボーナスをカットしても、「この会社はケチだ」と批判されたりします。このようなすれ違いが、会社と従業員の関係をさらに悪化させる原因となっています。

お金だけでは従業員の心は動かない

「高い給料を払えば従業員は頑張る」と考えるのは短絡的です。仮に平均年収の3倍の給料を提示しても、最初の数ヶ月はモチベーションが上がるかもしれません。しかし、人間の欲望は際限がありません。やがて「もっと欲しい」と思うようになり、その給料にも満足しなくなります。

そのため、給料は少しずつ段階的に上げていく方が、従業員のモチベーションを持続させる上で効果的です。お金の力は一時的なものですが、適切に使えば長期的な効果を生むことができます。

まとめ:経営者の心理を理解することの重要性

従業員を人として扱わないように見える経営者の心理の裏には、経営を維持し、会社を成長させたいという切実な思いがあります。しかし、そのアプローチが従業員にとっては冷酷に映ることもあります。

重要なのは、経営者と従業員の間でお互いの立場を理解し、歩み寄ることです。経営者は従業員を「駒」ではなく「パートナー」として尊重し、従業員は会社や社長に感謝の気持ちを持つ。このバランスが取れたとき、会社全体がより良い方向に進むでしょう。

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