新人上司・先輩の「仕事は見て覚えろ」はただの放置プレイだった件
1. 「仕事は見て覚えろ」は今も通用するのか?
昭和や平成初期には当たり前だった「仕事は見て覚えろ」という文化。
しかし、令和時代の今、それはもはや時代錯誤といっても過言ではありません。新人教育において何より大切なのは「環境整備」と「言語化されたノウハウの共有」です。
見て覚えるスタイルは、一見効率的に思えるかもしれませんが、実は放置プレイと紙一重なのです。
2. 教育を放棄した「指導者気取り」の上司たち
「見て覚えてよ」という一言で、指導の責任を放棄する上司や先輩が増えています。
本来であれば、丁寧なレクチャー、段階的なトレーニング、質問しやすい雰囲気づくりが必要です。
ところが、自分もそうされてきたからと、「苦労して覚えるのが当然」という価値観を押しつけるケースが非常に多いのです。
3. 放置プレイが新人に与える悪影響
放置された新人は、何をどうすればよいか分からず、結果的に自己判断が増えてミスを連発します。
「やる気がない」「理解力が低い」などと評価されがちですが、実際は正しいインプットがないまま業務を振られているだけです。
その結果、モチベーションを失い、最悪の場合は早期離職に繋がります。
4. 新人が感じる「不安」と「孤独」
研修やOJTが形だけで、実質的には誰も教えてくれない環境では、新人は常に不安と孤独を抱えています。
「質問していいのか分からない」「何が分からないのかも分からない」そんな状態に陥ると、仕事そのものが怖くなり、自信を失ってしまいます。これはメンタルヘルス的にも非常に危険な兆候です。
5. 指導しない上司が言いがちなセリフ集
「メモ取ってた?見てただけ?」
「普通は分かるよね?」
「俺の背中を見て学べ」
「教わってないじゃ通用しない」
これらの言葉は、指導をしないことへの正当化であり、責任転嫁です。
特に「普通は〜」というワードは危険信号。そもそも「普通」の基準は人によって異なります。新人はあなたの脳内を読めません。
6. なぜ「見て覚えろ」が未だに根強いのか?
要因は大きく2つあります。1つは「自分もそうだったから」という負の再生産。もう1つは「教えるスキル」が育っていないことです。
優秀なプレイヤー=良い指導者ではありません。実際には、「できる人ほど教えるのが下手」という現象が起きがちなのです。
7. 良い指導とは?具体的なステップ解説
では、どうすれば新人が成長できるのでしょうか。以下のステップが重要です。
ゴールの明示(この仕事は何のためにあるのか)
業務の全体像を伝える(流れの理解)
手順の言語化(マニュアル or 実演)
質問タイムの確保(心理的安全性の確保)
振り返りの場づくり(成長実感の共有)
このようなプロセスを丁寧に踏むことで、新人は安心して業務に取り組めます。
8. 新人が自衛のためにできる3つの対策
もしあなたが「見て覚えろ」の環境に放り込まれてしまったなら、次の3つを心がけてください。
質問メモを用意する
見て分からなかったことをその場でメモし、タイミングを見て聞くようにしましょう。自分でマニュアルを作る
上司が何も言わなくても、自分で作業手順を言語化する癖をつけることで、理解が深まります。ロールモデルを見つける
指導してくれない上司ではなく、丁寧に接してくれる他部署の先輩や同僚をロールモデルにしましょう。
9. 人材育成できない人材に未来はあるのか?
「見て覚えろ」が放置と化している会社は、人材が育たず、いずれ深刻な人手不足に陥ります。
優秀な人ほど見切りが早いため、離職率が高まるのも当然です。今後、生産性を高めるためには「育てる力」が組織の競争力となります。
「俺も誰にも教えてもらえなかったからさ」
「言われなくても察するのが仕事でしょ?」
こんな言葉を平気で使う先輩社員や管理職、あなたの周りにもいませんか?
昭和・平成の成功体験を引きずったまま、”自分のスキルだけ”で評価されようとしている人たち。ですが、令和のビジネス現場で本当に価値があるのは「教える力=育てる力」です。
なぜなら──
「育てられる人」ではなく、「育てられる人を育てられる人」こそ、未来のリーダーだからです。
10. 「教えてくれない会社」は辞めていい
最後に、声を大にして言いたいのは、「教えてくれない会社に未来はない」ということです。指導されないまま働くのは、あなたの時間と人生の浪費です。自分の成長を止めないためにも、「教育される権利」を放棄してはいけません。
「人材育成なんてマネージャーになってから考えればいい」
そんなふうに思っている人は、数年後に確実に置いていかれます。
教えることができる人=人を動かせる人。
人を動かせる人=成果を組織的に生み出せる人。
つまり、人材育成はあなた自身の市場価値を何倍にも高める「最強の武器」なのです。
今すぐ、自分の「育てる力」を棚卸ししてみましょう。
それが、これからのビジネスキャリアを左右します。