- 1. 慣習と既得権の闇|会社の雛形やフォーマットは営業マンを守ってくれない!!
- 2. 1. 会社のルールは“絶対”ではない
- 3. 2. 形式だけの雛形は、トラブル時に意味をなさない
- 4. 3. 「慣習」の壁が、会社のルールを無力化する
- 5. 4. 慣習を壊す=地雷を踏む、という現実
- 6. 5. “就業規則”も従業員を守ってはくれない
- 7. 6. 雛形は更新されない限り“時代遅れ”
- 8. 7. 契約書・雛形は“定期的なリーガルチェック”が必要
- 9. 8. 一方的な変更は、法的に“無効”となることも
- 10. 9. トラブルを避けるために、社員ができる“自衛策”
- 11. 10. まとめ|会社のルールを「信じすぎる」リスクに気づこう
慣習と既得権の闇|会社の雛形やフォーマットは営業マンを守ってくれない!!
1. 会社のルールは“絶対”ではない
企業にはさまざまなルールがあります。
就業規則、労働契約書、業務委託契約書、業務マニュアル、取引先との覚書や念書など。
こうした“雛形書類”は、企業にとって「安全網」とされがちです。
しかし、その雛形やルールがある=それで守られる・戦えるとは限らないのが現実です。
形式的なルールがいくら整っていても、実態とかけ離れていれば「効力がない」に等しいのです。
2. 形式だけの雛形は、トラブル時に意味をなさない
たとえば、あなたが営業担当として、新規取引前に「念書」を取引先に書いてもらったとしましょう。
その内容には、
「発注後のキャンセルは不可とする」
「プロジェクト途中で中断した場合、違約金を支払う」
と記載されていたとします。
ところが実際に、相手が納期直前で一方的にキャンセル。
あなたが「念書があるから訴えられるはず」と信じて法的措置に出ようとしても、想像以上にハードルが高いことに気づくはずです。
理由は明確です。
会社の独自雛形は、法的な裏付けがなければ“ただの紙切れ”になる可能性があるからです。
3. 「慣習」の壁が、会社のルールを無力化する
さらに厄介なのが、「慣習」の存在です。
企業間の取引、特に長年の付き合いがある関係では、法律や契約より“今までの慣れ合い”が優先されるケースが多々あります。
たとえば…
「発注書は交わしてないけど、毎年やってることだから今年もやってよ」
「契約書の納期はA日だけど、B日でやってくれるって言ってたよね?」
「違約金なんて今まで一度も取られたことないのに、なんで今回は?」
このように、“明文化されたルール”よりも、“今までのやり方”が正当化されてしまうのです。
この「慣習法」によって、企業が作ったルールや契約書は簡単に骨抜きにされてしまうこともあります。
4. 慣習を壊す=地雷を踏む、という現実
「だったら正しいことを貫けばいい」と思うかもしれません。
しかし現実には、慣習を破壊しようとすると組織の中で“異分子”扱いされ、逆に攻撃されることすらあります。
「あの人、また細かいこと言ってる」
「前任者はそんなこと言わなかったのに」
「なんでそんなに頑ななの?」
このような風当たりに遭い、ルールを守る側が“浮く”という本末転倒な現象も珍しくありません。
正論が通らない組織では、ルールの正しさではなく、「空気」が支配しているのです。
5. “就業規則”も従業員を守ってはくれない
会社の中で「従業員を守るルール」とされる就業規則ですら、守ってくれない場面が多くあります。
例えば、就業規則に「パワハラ禁止」「長時間労働の禁止」と記載があっても、
実際には…
上司からの叱責がエスカレートしても黙認される
月80時間を超える残業が“自己管理”扱いされる
「みんな我慢してるから」で済まされる
など、“ルールはあるが適用されない”という現象が発生します。
これは、企業の規則が法的義務ではなく“任意ルール”に過ぎないからです。
6. 雛形は更新されない限り“時代遅れ”
さらに深刻なのは、会社の雛形やルールが、一度作られたまま放置されているケースです。
5年前に作った契約書を今もそのまま使っている
法改正(たとえば同一労働同一賃金など)に対応していない
DX化したのに、書類だけ紙ベースのまま
このようなズレがあると、**「いざというときに使えない契約書」「時代に合っていない規定」**が山のように溜まってしまいます。
そしてこのズレが、大型プロジェクトの失敗、法的トラブルの原因になることも少なくありません。
7. 契約書・雛形は“定期的なリーガルチェック”が必要
形式的に雛形があれば安心、と思い込んでいると危険です。
本当に企業を守るには、次の対応が必要です。
契約書のアップデート(少なくとも年1回)
労働関連の法改正に応じた就業規則の見直し
外部弁護士によるリーガルチェックの導入
契約内容の説明責任を果たす社内研修
これらの体制があってはじめて、「ルールが実効力を持つ」のです。
8. 一方的な変更は、法的に“無効”となることも
「うちの会社の新しい契約書ではこう決まりましたので、今日から従ってください」
という上司の一言で、ルール変更が押し付けられることがあります。
しかし、契約とは**「双方の合意」によって成立するもの**。
一方的にルールを変えた場合、たとえ社内ルールであっても法的に無効となる可能性が高いのです。
この「合意なき変更」は、従業員にとっては**“違法な拘束”**にもなりかねません。
9. トラブルを避けるために、社員ができる“自衛策”
社員側としても、「会社がなんとかしてくれる」と思っていると痛い目を見ます。
特に次の3つの視点を持つことが、自衛につながります。
① 書面を保存しておく
→上司との口頭のやりとりだけでは弱く、証拠が残るようにしておくことが重要です。
② 就業規則の内容を自分でも把握する
→何が守られていて、何が義務化されているかを知っておくだけでも、対処の幅が広がります。
③ 労働組合や社外の相談機関を知っておく
→会社内でどうにもならないとき、相談先があるかどうかが分かれ道になります。
10. まとめ|会社のルールを「信じすぎる」リスクに気づこう
会社にルールがある。
それだけで安心してはいけません。
そのルールは**「今の時代に合っているのか」「実際に守られているのか」「法的に有効なのか」**を見極めることが必要です。
形式的な就業規則や契約書では、従業員も会社も守られません。
本当に機能するルールとは、“合意”と“実行力”のある仕組みです。
だからこそ、従業員も「自分を守る武器」として、会社のルールを“見直す視点”を持つことが大切なのです。