営業マンと事務員・事務担当の仲が悪い理由
営業マンが現場の主役だとすれば、事務員は立役者です。
双方ともにいなければ成り立たないのが組織です。
しかしながら営業所や支店・支社での人間関係は営業マン同士や上司と部下よりはるかに根深く深刻な問題を抱えている会社が多いのが現状です。
営業マンの怠慢・事務員の怠慢
営業マンは数字・契約を取るの仕事だと多くの人は思っています。
そして会社のミッション・役割としてもそう教えているところが多いです。
一方、事務員や事務職の仕事は営業マンの契約した書類の処理や、書類回収後の手続きなどです。
営業マンと事務員・事務職は連携しなければ『間違いなく』うまくいかないことが多いです。
営業マンの待遇・事務員のやる気
営業マンが仮に1件の契約を取れば報酬で10万円受け取れるのに対して、事務員は何件お客さんごとを対応しても給料は変わりません。
その時点で営業マンと事務員・事務職は仕事へのモチベーションやベクトルが異なってきます。
営業マンが思う事務員・事務職の存在
営業マンは契約を取るのが仕事であり、給料に直結するものですが、事務仕事はお金にならない仕事であり誰でもできる仕事だと、マウントを取る傾向にあります。
もっと言えば大きなトラブルを抱える支店などでは、営業マンが数字を取るから、事務員は給料もボーナスももらえるんだ。
という営業マンすらいます。
事務員・事務職が思う営業マンの存在
事務員や事務職は生産性とミスをしないことが最大のミッションです。
具体的に言えば、朝出勤してから昼休みを円滑に取り、定時に帰る。ことが毎日できるのが、パーフェクトです。
定時に帰れないということは、処理能力を問われますし、ミスをすればお客さんとトラブルになり営業マンとお客さんの板挟みになってしまいます。
そのため、なるべく『無理な要求』は受けたくないし『ややこしい話』は私以外に振って欲しいというのが本音だと言えます。
営業マンの事務員・事務職への不満やストレス
営業マンはお客さんのニーズや要望が多岐に渡るため、マニュアル通りに対応できないことや処理できないことも多くあります。
書類一つ、印鑑一つ、署名の抜け一つで信用をなくし、次回の取引を競合会社に乗り換えられてしまうこともあります。
そのため、なるべく営業マンは臨機応変な対応を心掛けます。
しかし、この臨機応変な対応こそが事務員や事務職の『無理な要求』『ややこしい話』になるのです。
事務員・事務職の不満やストレス
簡単な書類仕事も複雑な処理も同じ対価であることが第一に言えます。
事務員は常連のお客さんや取引先との電話対応にも対応しますが、第一次クレームの入電に当たる確率も高い仕事です。
つまり、社長の奥さんとの長話でも、怒鳴り散らす電話も同じ給料だということです。
もちろん、このクレームに関して言えば事務員や事務職に過失があることはなく、『無関係』とも思えることで怒られることになります。
事務員・事務職がイライラする書類の確認戻し
事務員や事務職は営業マンから提出された書類の処理を担当しますが、複雑な契約書や約款が増え、ペーパーレス化が進んでも署名・捺印が必要なことはまだまだ多いです。
さらに、取り付け書類が足らない、この契約書では商品が納品されないというトラブルなど、書類の確認戻しをする必要があります。
営業マンがイライラする書類の確認
業種によっては、1件の契約で何十枚もの取り付け書類が必要な場合があり多忙な取引先やお客さんとの接見は1回で済ますのがスマートです。
しかし、書類を提出した後、この書類では効力が足りないためお客さんからの補記が必要などと言われると、半日かけて取り付けた仕事をもう一度アポイントからやり直すため、大きな怒りとストレスを感じるようです。
トップセールスマンは事務員や事務担当と平和を築き上げる
トップセールスマンで事務員や事務担当と関係性が良い人とヒアリングした結果は非常にシンプルな回答でした。
・事務員や事務担当も人間であり営業マンも人間、ヒューマンエラーがあるように誤解を招き、失念することもある
・常に会話量を調整し、頼むタスクをこちらが調整する
・根本的にスルースルーを心がける
この3つだそうです。
特にスルースルーは興味深く、
事務員や事務担当がチェックし、次の工程や作業、管理者へチェックが進んでも手直しゼロを営業マンである自分が目指しているとのことです。
なぜマニュアルがあるのに、書類ミス等があるのか
今の時代、約款や約款を読み解くマニュアル、契約を取る際の研修など様々な社内イントラで学ぶことができます。
しかし、残念なことにマニュアルが完璧だということも実はありません。
簡単に言えば、言葉の『捉え方』で理解の仕方が変わってしまうことも多くあるのです。
特に、金融関係では取り付け書類、不動産登記では法務局での聞き取りミスなどもあります。
法律や行法改正でマニュアルには補填紙(情報の誤りなどを直す紙)が差し込まれる場合がありますが、それが抜けおちていたという人的ミスなども原因に挙げられます。
コンサルの現場で見たマニュアルの盲点①
ちょうど新型肺炎のコロナ第一波の時、私は生損保の保険代理店へコンサルに入っているとき、コロナウィルスによるイベント中止は保険金支払いの対象になるかならないか、というところで持ちきりでした。
確かに、イベント会社からすれば数千万円規模の資材や誘致企画が中止になると倒産してしまうくらいのダメージを負います。
その際、保険代理店としてはマニュアル・約款を読み新型コロナウィルスが、マラリアや赤痢などと同等扱いになるか、など判断ができない状況でした。
複数の保険会社を取り扱う代理店は、全ての保険会社への聞き取り調査をしても返答ははっきりせず契約者から怒鳴られる現場を何件も見ました。
コンサルが見た言葉足らずな営業マンと事務員
「法人契約の時、角版印だけで大丈夫だったよね?」
「マニュアル見てもらえますか?」
「どのマニュアル?」
「なんでそんなこともわからないんですか?」
「どんな口の利き方してるんだ、何様だ」
営業マンからすれば、「そうです」の言葉を期待して聞いた軽い気持ちが、事務員や事務職の方の怒りに火を付け、営業マンはその態度に怒るという負の連鎖が起こりました。
営業マンと事務員・事務担当の仲が悪い理由
この一見平行線に見える関係性をまとめあげるのは、難しいのではないか。という管理職の声も上がる中、売り上げの良い営業マンは実際の現場で事務員や事務担当との関係性が話題になりました。
できる営業マンと事務員や事務担当の関係は二極化
できる営業マンと顧客数や年間売上トップの営業マンと、事務員や事務担当の関係性は完全に二極化していることに注目が集まります。
1、敵対的関係:双方共にマウントを取り合い、「黙っておいてやる」「処理しといてやる」という冷戦のような関係性です。
2、友好的関係:驚き中で唯一事務員や事務担当と関係性が良いと双方共に答えたのも売り上げのトップ営業マンでした。
トップセールスマンと管理職の政治的人脈
トップセールスに成り上がった営業マンは、稼ぎ頭であり管理職も一目置くポジションであり稟議や目に見えない権限力があることが伺えます。
事務員や事務担当は基本的に平和主義で、特に敵になると自分の立ち位置が怪しくなると感じる場合は、支援者にまわる思考があるようです。
確かに仕事がしにくくなるのは事務員や事務担当も営業マンも同じように良い気持ちはしません。
その中で、トップセールスマンは後輩にも慕われ、上司にも一目置かれ、同僚には嫉妬以上にこの営業マンがいないと支店予算・支社予算が達成できないという相互関係になっているようです。
敏腕営業マンはタスク管理を自己責任化している
敏腕営業マンはそもそも事務員・事務職が担当する業務内容も把握し、自分がどの書類をいつ提出したか、何を言ったかをメモし事務員や事務職が見ても思い出せる備忘録表を作成しているようです。
これは社内文章ではなく事務員や事務職とその営業マンとのお互いを守るためのものとして重宝されています。
ヒューマンエラーは想定して行動する営業マン
特に人の失敗を大きく批判する営業マンと事務員・事務職の関係性は最悪と言えます。
もはや言葉すら交わさす、離席した時に書類を投げ入れるような風景が何度も見られます。
しかし、売れている営業マンはそもそも『ヒューマンエラーありき』で動いているため、もしも行き違いがあれば「今度からこうするね」「また同じようなことがあれば書類とりあえず投げ返しておいてくれる?」と一歩引く会話が目立ちます。
さすがとしか言いようのない会話力・対応力も伺えました。
トップセールスマンはお客さん以外にも対応力がある
つまり総括するとトップセールスマンは社内だから素が出るというよりも、事務所やオフィス内でも人の心を掴む言動・行動をしていることということです。
逆に前述した冷戦状態の関係性を築く営業マンも、『できない奴』『できる奴』という判断が明確で『プロ意識』の強さが結果としてまとまっています。
さらに言えば、事務員や事務担当はそもそも敵対心はないため、営業マン主導で関係の回復をしていくことが求められます。