営業マンの「お忙しいところ失礼します」がムカつかれる理由
「お忙しいところ失礼します」「お忙しい中失礼します」という言葉はメールや電話、商談も合わせると人生で何回言うのでしょうか。
今日もこの記事を読む前に何回キーボードを打ち込んだでしょうか。
しかし、この「お忙しいところ失礼します」「お忙しい中失礼します」と逆に何回言われたか、送られてきたか、目にしたかというと、思い出さないはずです。
なぜなら、その言葉など意味がないと耳も目も抜いて情報をインプットしているからです。
なぜ「お忙しいところ失礼します」「お忙しい中失礼します」と言われるようになったのか
『お願いベース』の話をするときのクッションとして使われ始めたのが、「お忙しいところ失礼します」「お忙しい中失礼します」です。
これは人間の心理で、いきなりお願いするよりも『場慣らし』させたいというお願いする側の気持ちが大きく反映されています。
確かに従来の考え方はいきなりの本題は失礼という風潮にありましたが、逆にそうでしょうか?
「お忙しいところ失礼します」に苛立つ経営者
「お忙しいところ失礼します」と聞いて礼儀正しい好青年だ、と思う経営者はもういないと言っていいはずです。
それは「お忙しいところ失礼します」と言う言葉に慣れてしまったからだと言えます。
つまり慣れた言葉は一切効果を発揮せず、逆にマイナスな印象や記憶を蘇らせてしまうきっかけの言葉になってしまうのです。
皆さんの個人の携帯に「お忙しいところ失礼します」と電話がかかってきた瞬間に「何か営業される」という危機感にも近いストレスを感じませんか?
忙しくもない休日でも「今忙しいので」と断わることを前提で「はい」と返事しているはずです。
経営者はそれ以上に「お忙しいところ失礼します」と言われる機会が多いため、「お忙しいところ失礼します」と聞くだけで苛立ってしまうのです。
無礼な方が話は聞いてもらえる営業の事実
「お忙しいところ失礼します」と電話をかけた場合「今取り込み中だから」と断られて記憶にすら残りません。
或いは、「時間を考えなさい」「どこでこの番号を聞いたんだ」「会社を通してくれ」など言われる可能性はありますが、興味はこの時点でありません。
しかし「もしもし、〇〇について、ご提案させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」
と仮に言葉を変えてみると『本題』は伝えた上で断られることができます。
もっと言えば「無礼だ、名乗りなさい」と言われた方が印象には残るのです。
名前より何より提案優先がテレアポで売れる理由
例えば一流企業がいきなりテレアポで社長に売り込むことはまずありません。
なぜなら紹介や関係会社、取引先との会合で直接会ってアポイントを取るからです。
つまりテレアポをしている時点で『会社名にブランド価値がない』場合が多いのです
そうなれば「私〇〇株式会社の〇〇と申します」と先に聞いた情報で、「誰だ」となるのです。
それであれば「どちら様ですか?」と聞かれた方が一つ会話のターンが増えるため、情報を多く伝えることができるのです。
『嫌われたくない』『怒られたくない』が先行してしまうからこそ、聞き手との心理解離が生まれますが、そもそも断られる率の高い商談をして『嫌われたくない』『怒られたくない』というメンタルは先に置いて受話器を取ったほうがいいでしょう。
「お忙しいところ失礼します」は保守に走る営業マンの言い訳
「お忙しいところ失礼します」は「悪いとは思ってるから怒らないでください」と同じ意味合いで使っている営業マンも多いと言えます。
つまり保守に走る営業マンの言い訳となってしまうのです。
「お忙しいところ失礼します」が言い訳となれば、電話に出てくれた人に悪いことをまだする前から言い訳を始めていることになります。
それであればせめて順番は入れ替えたいものです。
テレアポでの「お忙しいところ失礼します」は順番を変える
「もしもし、〇〇について、ご提案させていただきたいのですが、よろしいでしょうか」
「どちらさまでしょうか?」
「お忙しいところ失礼します、私〇〇の営業を担当しております、株式会社〇〇の〇〇と申します」
いかがでしょうか?
図々しくも伝えたいことを伝えて質問にも答えられていると思いませんか?
それに『〇〇の営業』をしているという言葉もポイントです。
「誰だ」と聞かれている質問に対して間違った答えは言わずに、『何を売っているか』まだ伝えることができているのです。
「お忙しいところ失礼します」の応用編
「お忙しいところ失礼します、私CMでおなじみの〇〇の営業を担当しております、株式会社〇〇の〇〇と申します」
「お忙しいところ失礼します、私首都圏シェア率1位〇〇を取り扱っております、株式会社〇〇の〇〇と申します」
「お忙しいところ失礼します、私〇〇の集まりでご挨拶させていただいた、株式会社〇〇の〇〇と申します」
どれも聞き手に印象を残すキーワードを入れて自己紹介をしています。
もちろん、最初の話出しが「お忙しいところ失礼します」から離れられなくても、この言い回しをするだけで伝えられる情報量が2倍以上にはなります。